9世紀頃から16世紀頃にかけて、アラブの商人たちが海を渡ってアフリカ大陸の東海岸へやって来ました。彼らが築いた当時の名残は、今でもケニアやタンザニアなどで見ることができます。その代表的な場所の一つに、インド洋に浮かぶタンザニアのザンジバル島があげられます。かつて奴隷貿易の中心地として栄えた島です。

サンゴ石で建てられた石造建築が特徴的なザンジバルは、それに由来して、通称「ストーンタウン」と呼ばれています。2000年にはユネスコ世界遺産に登録されました。

狭い曲がりくねった路地には、イスラム様式とヨーロピアンが融合した建築が所狭しと並びます。特に「ザンジバルドア」と呼ばれるアラベスクの木彫ドアが特徴的で、美しいドアを探しに散策するだけでも楽しいです。

草木花と幾何学模様が彫られたドアの装飾

これらの美しい装飾は、この地で繁栄した商人たちが残した遺産。宿や住居としてそのまま使われている所もあれば、廃虚や跡地になっている所も多く、 島の至る所で当時の名残を見ることができます。

道を歩けばイスラム教徒の格好をした人が歩いているし、朝と夕方には「アッラ〜〜」とコーランが鳴り響き、お祈りの時間になるとメッカの方角へ向かって祈りを捧げる人々の姿。チャイや水パイプを楽しむ人の姿もあちこちでみかけます。市場では、いろんな種類の香辛料やお茶が売られていて、なんともエキゾチックな香りが漂ってきます。露天ではインドの食べ物サモサが売られていたりして。

イスラム世界の要素が色濃く、植民地時代の影響もあり、ヨーロッパの匂いもどこかある。そしてイギリス植民地時代にはインド人の移民が沢山入ってきたこともあり、インド的要素も見られます。

ここは、アラブなのか、インドなのか、アフリカなのか…。

いえ、これら全ての多種多様な要素が融合して産まれた、それこそが、まさしくスワヒリ文化なのです。

ザンジバルへは、ダル・エス・サラームから高速船で1時間半、その他に3時間かかるフェリーが就航しています。飛行機だとダル・エス・サラームから30分。美しい青い海と白いサンゴ礁を目指して、世界中のダイバーや旅人がここへ集まってきます。

透き通る青い海とビーチでのんびりできるのもザンジバルの魅力ですが、この地を訪れるのであれば、島歩きをしながらスワヒリ文化に触れてみるのもおすすめです。