旅と写真をこよなく愛するフォトラベラーYoriです。
このブログに辿り着いて読み始めたあなたはきっと北極圏に興味をお持ちなのだろう。
もしかしたら行ってみたいと思っているのかもしれない。
もしそうなら「いつか」と先延ばしにせず最優先の目的地に昇格させて欲しい。
なぜなら、海氷に敷き詰められた現在の北極海の姿は、近い将来消滅してしまうからだ。
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極地というのは気候変動の影響を受けやすく、地球平均の何倍もの早さで温暖化が進んでいるという。
そこにある大量の氷が溶ければ海面は上昇する。
実際、北極から遠く離れた南太平洋に浮かぶ珊瑚礁の島国ツバルでは国土水没の恐れが出てきた。
海面上昇対応の一環として2023年にオーストラリア政府は毎年280人のツバル国民の移住受け入れ制度を締結し、2025年から希望者の抽選を開始した。
私はオーストラリアのシドニー在住なので他人事には思えず、映画やドラマのストーリーが現実になったこのニュースにいいしれぬ恐怖を感じている。
日本でも違う形で動きがある。
北極海に氷が無くなれば船舶航路として利用が実現するのではないか?
日本からヨーロッパへの輸送時間は大幅に短縮され燃料費も削減できるとして、文部科学省所管の国立研究開発法人「海洋研究開発機構」が日本初の砕氷機能を持つ研究船「みらい2」を建造し、2025年3月に進水式が行われた。
これは言わば「北極海の海氷が消滅する事を前提」としているプロジェクト。
温暖化がもたらす影響は絵空事ではなく深刻なリアルなのだ。
対岸の火事ではない。

オンリーワンさんから北極圏を体験しませんか?と声をかけて頂いたが、2025年はすでにアイスランドやアフリカへの冒険旅行が決定しており物理的に難しい。
しかし魂に問われたのだ。
「北極海の最後の姿を見ないで後悔しないのか?」と。
消滅する前に氷の世界を記録したい。
狩場が無くなれば姿を消してしまうホッキョクグマの営みをこの目に焼き付けたい。
悩みに悩んだが魂の叫びを尊重し参加を決めた。
不思議なもので、覚悟を決めると物理的問題は解消されるものらしく、スムーズに北極圏への道が開かれていった。
この旅は、ノルウェー領スヴァールバル諸島のロングイェールビーンから出航し、北スピッツベルゲンのフィヨルドを巡り、氷河を訪れ、ゾディアックボートに乗り換え上陸しながら手つかずの自然を体感し、北緯80度の海氷に覆われた世界を目指す北極圏クルーズだ。
なぜか憧れる「白夜」を体験できるのも嬉しい。
6月の初夏だから凍えることもない。
何よりも日本を代表する自然写真家の高砂淳二さんが同行されるのが良い。
高砂さんとはオンリーワンのオーガナイズでペンギン天国・フォークランド諸島や雷多発地帯ギネス認定・ベネズエラのカタトゥンボなどの秘境で冒険を共にし、勝手にシショーと呼ばせて頂いている。
今回も北極という究極の辺境の地でシショーの自然との向き合い方を学べるのは、この上ない喜びとなるだろう。

フォークランド諸島サンダース島のジェンツーペンギンと私の足^^

雷多発地帯ギネス認定カタトゥンボの夜。一晩に数千発の雷が発生する。
未知なる北極圏クルーズだが、必須アイテムさえしっかり準備しておけば特に難しいことはなかった。
<お役立ち情報・必須のアイテム>
*防水性・防風性・透湿性のあるレインジャケットとパンツ
これは、クルーズ船からゾディアックというゴムボートに乗り換え上陸する際、安全基準に達してないウェアを着ているとノルウェー法に引っかかり乗船できない可能性があるからだ。
旅の案内には「完全防水の〜」と書いてあったが、ゴアテックスであれば悩む必要はない。目安として、耐水圧1万ミリ以上のレインウェアやスキーウエアなら問題は無かった。
*防水バッグやバックパック
ゾディアックボート乗船中は水を被ることが無いとは言えないので、所持品を防水バックで守ってあげる必要がある。
私の場合はカメラバックをそのまま入れられるダイビング用の大きな防水バックを持っていたのでそれを利用した。
*滑りにくいスニーカーやスノーブーツ
クルーズ船のデッキは濡れていることも多く滑りやすい。
そのため乗船中は滑りにくいスニーカーを履くのが転倒防止の役に立つ。
サンダルを履いてデッキに出ようとした人はスタッフに注意されていた。
クルーズ船のスタッフたちは絶えず周囲の野生動物を探してくれている。
クジラやホッキョクグマなど大物を見つけた時は早朝だろうが深夜(白夜だから明るいが)だろうがレクチャー中であろうがすぐに船内アナウンスを入れてくれるため、急ぎデッキに飛び出して観察や撮影を開始する。
野生動物の行動状況によっては長時間屋外に出っ放しということになる。
私は脱着しやすいハーフ丈のスノーブーツで過ごしたのだが、滑らないし防寒にもなるのでなかなか便利だった。
*ゴムブーツの準備は不要
ゾディアックボート乗船にゴムブーツは必須だが、オンリーワンでツアーに申し込めば、ネオプレン製の非常にしっかりしたゴムブーツを無料で貸してもらえるので個人での準備は不要。
上陸した際、雪道もしっかり歩くことができた。
*上手に重ね着しよう
白夜だから朝も晩もないので終日気温はあまり変わらず一定している。
クルーズは6月の初夏のため北極圏と言えども氷点下になることはほとんどなく、なったとしてもマイナス1〜2度程。
平均気温は4度くらいの毎日だった。
それでも風が吹けば体感温度は下がるし、動物観察のために長時間屋外にいる事もある。
観察を終え、暖房の効いた船内に戻れば今度は汗が出てくる。
服選びのコツは温度調節できる重ね着。
インナーシャツ+薄手のウールセーター(またはフリース)+薄手のダウン、これに防風シェルの代わりにレインウェア上下を着れば、デッキでもゾディアックボートで移動中も全く問題なかった。
厚ぼったいダウンジャケットにTシャツ一枚といった組み合わせは温度調節しづらいのでNG。
また、インナーシャツは通気性に優れた製品だと汗冷えを防いでくれるのでおすすめ。
*フェイスマスク、サングラス
厚手のソックス、帽子、手袋はもちろん必須だが、試しに持参したスノーボード用のフェイスマスクが重宝した。
氷の世界は太陽光の反射が強いので、サングラスもご持参あれ。
ちなみに船内では使用量制限はあるがWi-Fiが無料で使用でき、必要なら追加購入も可能。
あとはいつもの旅行のように個人的に必要なものをスーツケースに詰め込めばOK。
さあ、冒険に出発するとしよう!
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次回の第2話は、我々の非日常が日常の世界最北の街の興味深いお話しです。
お楽しみに!
<文・写真> フォトラベラーYori




